外資系IT企業の正社員 本田さん(32)の場合

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<プロフィール>
●名前:本田智和さん(仮名)
●職業:外資系IT企業の正社員
●年齢:32歳
●最終学歴:都内の国立大学の大学院卒
●推定年収:750万円
●生息域:東京の西部地域
●行動特性:ストイックなまでに仕事に打ち込むが、優先順位は常に家族
●好物:映画観賞(自宅にシアタールームあり)
●好異性:笑顔が可愛い女性

超有名IT企業のエンジニアが語る、理想の家庭

「結婚願望はすごく強いです。小学校2年生の頃、大好きだったマンガ『まじかる☆タルるートくん』の主人公が途中で亡くなるシーンに衝撃を受けました。死ぬ間際に幸せだった人生を振り返ることができるにはどうすればいいのか。自分なりに深く考えたんです。そして、いい奥さんと子どもに囲まれて仲良く暮らすことだと確信しました」

強固な幸福論を語ってくれるのは外資系IT企業で夜遅くまで働く本田智和さん(仮名、32歳)です。素朴さを感じさせるほど丁寧で謙虚な姿勢は、有名な外資企業の社員とは思えません。聞けば、経済的にそれほど豊かではないけれどとても仲の良い家族で末っ子長男として育ってきたとのこと。納得の生い立ちです。

「家族構成は、父方の祖母、父、母、そして私です。2人の姉はそれぞれ結婚して子どももいますが、実家にもしょっちゅう帰って来ています。いま、家族の心配事は僕がまだ独身であることです。僕も早く結婚したいのですが…」

声が小さくなる智和さん。学歴も職業も年収もハイスペックで、小柄ながらも清潔感のある知的な風貌で、コミュニケーション能力も問題がありません。結婚への意欲はあるのに恋人すらいないのが不思議です。その点は後ほど追求するとして、現在の暮らしぶりから聞いておきましょう。

職場に出会いは求めず、仕事に打ち込む毎日

智和さんは学生時代から実家暮らしで、一人暮らし経験は2カ月間の短期留学のみ。毎朝7時に起床し、母親が用意してくれる朝食をとった後に出社しています。始業は9時ですが、夜11時頃まで会社で働くことが少なくありません。智和さんは中途採用でこの会社に入ってから日が浅く、まだ業務に慣れていないのです。

「夜遅くに帰宅して、母親が作っておいてくれた料理を食べています。そんな生活なので朝は食欲がわかずに食事を抜いてしまうことが少なくありません」

昼は会社近くのコンビニでお弁当を買い、社内の共有スペースで同僚と一緒に食べています。智和さんによれば、みんな大変に優秀なのだそうです。

「頭の回転がすごく早くて、情報解析の能力も高い。お客さんにもいろんなアイディアを即座に提示できます。僕はとても追いつけなくて日曜日は自主的に出社して勉強をしているところです」

数百人の同僚はいずれも若く、平均年齢は30歳ぐらい。それでいて7割以上の人が結婚しています。もともと結婚願望が強い智和さんが焦るのも無理はありませんね。

「うちの会社は新卒入社は少ないので、多くの人が学生時代や前職からの恋人と結婚しています。社内結婚のカップルもいますが、2割ぐらいしかいない女性社員のうちで独身なのは20代前半の子たちばかり。恋愛対象ではないかって? 僕は構いませんけど、彼女たちが嫌がるでしょう」

自分自身も十分にエリートなのになぜか自信のない発言が多い智和さん。謙虚なのはいいけれど、度が過ぎると「卑屈」「暗い」「後ろ向き」という印象を女性に与えてしまいます。そのせいなのか、モテ期を経験したことは一度もないようです。

姉の紹介で付き合った元カノからの辛辣な一言

初めて女性とお付き合いしたのは、大学院生だった25歳のとき。上の姉が紹介してくれた同い年の女性、圭子さん(仮名)でした。

「僕があまりにモテないのでデートの練習をしてあげてほしい、と姉から頼まれたそうです。笑顔が素敵な女性で、会話も楽しかったので、本当に付き合うことになりました。でも、3ヶ月後にはフラれてしまったんです」

フラれた本当の理由はよくわかりません。ただし、圭子さんから「あなたには稼ぐオーラがない」と言われてしまったことを智和さんは今でも覚えています。お金なんてなくても幸せになれると思っていたけれど、やはりお金は必要なんだと痛感した智和さん。社会人になってからは収入も意識してがむしゃらに働いてきたのです。現在では給料の他、先物取引などの投資で年間200万円もの副収入を得ています。

そんな智和さんの噂を聞きつけたのか、別れて3年後に圭子さんから連絡があったそうです。いろんな男性と付き合った結果として結婚するならば智和さんが一番だと思い直した、とのこと。

「嬉しかったけれど、ちょっと不安にもなりました。結婚してから『やっぱりあなたとは無理』などと言われて別れることになったらたまりませんから。3年前になぜフラれたのかをハッキリさせたい、と伝えました。彼女はそれを断りの文句だと受け取ってしまったようです」

智和さんは恋の駆け引きをしたいのではありません。間違いのない幸せな結婚をしたいだけなのです。

目標は両親です。本当に仲が良く、そんな家庭で育つことができた僕は幸せだと思っています。これってすごいことだと思いませんか?」

「いい人」が仇となり、婚活も苦戦中

焦った智和さんは今年の春から婚活パーティーに参加しています。典型的なパーティーは、男女それぞれ8人が参加して、1人につき6分間ぐらいのトークができるというもの。女性の多くは20代後半でした。智和さんはいずれのパーティーでも「いいな」と思う女性がいたのですが、その女性のほうからは選ばれず、今のところマッチングはしていません

「食いついてもらえるように、趣味の欄には映画鑑賞に加えてバルーンアートボイスパーカッションなど、ちょっと変わったものを書くようにしています」

それはちょっとやりすぎな気がします。そこはストレートに映画観賞だけを書けばいいのではないでしょうか。奇をてらうと見抜かれて、気持ち悪がられてしまいますよ。

そんな智和さんを心配したのは、保育園で働いている下の姉。保育士仲間の同僚で結婚相手を探している恵美さん(仮名、27歳)を紹介してくれました。智和さんの家族、本当に絆が固いですね!

「何事にも前向きで、笑顔が可愛い女性だと思いました。寝る時間を削ってでも会いたいと僕は思っています。でも、4カ月間で3回しかデートできていません。毎日LINEを送っているのですが、返信は来たり来なかったり。体調が悪い、などの理由で会うのを断られることも多いです。僕はどうしたらいいのでしょうか? 何かいい方法があったら教えてください」

僕は婚活アドバイザーではないのですが、智和さんと話していて思うことが2つあります。1つ目は、親きょうだいと適切な距離を保つことです。

両親を目標にするのはいいことですが、それを含めて家族の絆の強さをアピールし過ぎると、相手は「私には入り込むすき間がなさそう」と感じてしまうでしょう。会社近くの都心にマンションを借りて一人暮らしを始めてみたらいかがでしょうか。いい意味での「男っぽさ」が増す気がします。

もう一つは、自信を持つことの大切さです。智和さんはとても謙虚でユーモアセンスもある働き者なのでいろんな人から好かれると思います。しかし、女性の視点からするとあまりに「いい人」過ぎる気がします。ときめきに欠けると言ってもいいかもしれません。

智和さんは今まで努力をしてきて、現在もちゃんと生きていることは疑いようがありません。その点に誇りを持ち、自分で自分を認めてあげましょう。自分で好きなれないものを他人に好きになってもらうことは難しいからです。

一般的に、男性よりも女性のほうがバランス感覚に優れており、客観的に自分を見ていると僕は思います。だからこそ、女性は自信がない傾向があり、ちょっとバカっぽくても自信がある男性に惹かれるのでしょう。健全な明るさや勢いは誰の人生にも必要なのです。

今回の独身くん 婚活フィールド×理想の女性パターン

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大宮 冬洋(おおみや とうよう)フリーライター

1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
「お見合いおじさん」としての悪戦苦闘の日々は、ヤフーニュース個人の連載「中年の星屑たち」で公開中。
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