産業機器メーカー技術職 西村さん(25)の場合

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<プロフィール>
●名前:西村弘さん(仮名)
●職業:産業機器メーカーの正社員
●年齢:25歳
●最終学歴:九州の国立大学卒
●推定年収:400万円以上
●生息域:有楽町、東京近郊の野球グラウンド
●行動特性:一人好きそうに見えるけれど仲間と一緒に遊ぶのが大好き
●好物:野球
●好異性:アクティブで料理上手な女性

なぜ彼女がいないのか? ピュアな技術設計男子

いきなり個人的な妄想ですが、筆者は「再び男性に生まれ変わったらこんな風になりたい」というイメージがあります。目鼻立ちがはっきりした顔だち、理系の頭脳、穏やかだけど情熱を内に秘めた性格、ですね。現世の筆者は正反対なので諦めと憧れを同時に感じるのだと思います。

首都圏の産業機器メーカーで技術職に就いている西村弘さん(仮名、25歳)は、筆者の願望を体現したような青年です。しかもオシャレ。九州出身というのもいいですね。自然豊かな「ど田舎」で伸び伸びと育ちつつ、いずれ地元を離れることを真剣に考えて来たそうです。

「地元は今でも好きですが、自分が住む世界を広げていきたいと思っています。少しずつでもステップアップしていきたいです」

九州の国立大を卒業した西村さんは、関東地方にある産業機器メーカーに就職。営業にも関わる技術職として忙しい日々を過ごしています。

「会社が借り上げているマンションで一人暮らしです。平日の朝は7時起きですね。パンを食べながら車で出勤しています」

自動車通勤……。車の運転が苦手な筆者はまたしてもうらやましくなってしまいます。妻と出かけるときは平気な顔で助手席に座り、「男としてどうなのよ」と諌められているのです。筆者と違って西村さんはモテそうですね! 恋愛状況については後ほどゆっくり伺うとして、西村さんの日常生活の続きを教えてもらいましょう。

男性9割、周りは既婚者、自主残業22時まで

「始業は8時半です。朝礼の後にメールチェックをしたら、担当している製品の設計作業に没頭します。建築業界では図面の一部は手書きですが、産業機器はすべてパソコン上で作業するのが普通です。もちろん、先輩社員にも相談にのってもらっています」

西村さんが勤務する会社の製品は、顧客の要望に合わせてオーダーメイドをしています。在庫を売るのではなく、どの製品もほぼゼロから作り上げなければなりません。営業担当者とタッグを組み、開発スケジュールを作成し、お客さんが満足してくれる製品を納期厳守で作っていきます。

開発のための打ち合わせ、機器を顧客の工場などに導入する際の試運転やレクチャー、さらに問題が発生したときの対応。そのつど現場に出向く必要があります。週1ペースで国内出張をしているそうです。会社にいるときは設計や事務作業に追われるため、毎日22時頃まで働いています。社内に早く帰れない雰囲気があるわけではなく、「やるべき仕事がたくさん残っている」ので自主的に残業しているのです。

「社内で出世したい気持ちはあまりありません。どんな仕事をやるのかに重きを置いています」

出世するよりも「いい仕事」がしたいというのは現代的ですね。同世代の女性にも好感を持たれやすいと思います。しかし、こんなに爽やかな西村さんには5年間恋人がいません。ということは、学生時代に別れて以来、ということでしょうか?

「はい。大学の同級生と1年弱だけ付き合いました。部活の仲間の紹介で知り合って、一緒に遊んでいて楽しかったので告白したんです。ノリが良くて面白い女性でしたね。でも、彼女に浮気をされてしまい、少しずつ気持ちが冷めて別れることになりました」

大学と就職の地が異なると、出会いが限られる

せつない思い出ですが、その女性に未練があるわけではなさそうです。新しい彼女が欲しいと思っていて、良き相手であれば結婚したいと思っていると明かす西村さん。2つの小さなハンディキャップがあります。

1つは、3年前の大学生時代までは九州で過ごしていたので、首都圏には人的ネットワークが少ないこと。気軽に誘い合える人は限られているのは仕方がありません。ただし、同じ大学の友人が10人ほどは東京にいて、こちらに来てから入った草野球チームのつながりも少しずつ増えています。

土日は基本的に休みなので、野球をしたりライブに行ったりしています。スポーツ観戦も好きです。合コンの誘いがあれば積極的に参加します。住んでいる場所からでも行きやすい有楽町で飲むことが多いです」

もう1つのハンディは、理系の男性が主体の職場で働いていることです。女性社員は1割ほどで、ほぼ全員が年上の既婚者です。男性の先輩社員が合コンをセッティングしてくれることもありますが、今のところ良い出会いに巡り合えていません。

あくまで理想ですが、同級生と付き合いたいと思っています。年下は疲れてしまうし、3歳年上の兄よりも上の女性とは恋愛しにくいからです。実際に好きになったら年齢は関係ないかもしれませんけど…」

母親と重なる理想の相手像

加えて、西村さんにはやや古風なこだわりがあります。料理上手な女性でないと結婚するのは無理、という点です。

「家族のためにおいしい料理を作り続けてくれた母親の影響だと思います。僕自身、食べることが好きですし、子どもができたときに栄養管理をちゃんとできる人でないと家族としてやっていけません。共働きであれば僕もできることはやりますが、料理は奥さんに任せたいです」

食い意地の張った筆者には西村さんの気持ちはわかります。胃袋は積極的につかまれたい、そうすれば仕事もがんばっちゃうよ、という感覚ですよね。食事に関する価値観が似ている女性とは幸せな家庭を築きやすいとすら思います。ただし、西村さんはさらに先のことも考えているのです。

子どもはほしいので、教育環境に関してはすごく悩んでしまいます。子どもが成長するうえで都会はあまりにもせせこましいからです。学校のグラウンドが狭いなんて嫌ですね。やはり地元に帰るべきでしょうか……」

うーん、恋人を作る前の時点で子育てのことまで心配するのは少し先走り過ぎではないでしょうか。西村さんはまだ25歳。軽やかに遊んでいい時期です。地元を出るときの目標だった「世界を広げる」ためには、仕事だけではなく恋も必要だと思います。

好きになったり振られたりする経験をもっと重ねませんか。西村さんならさらにいい男になれるはずです。暮らし方に関してもより柔軟な考え方ができるようになるでしょう。その先に、想定外の幸せな結婚生活が待っている気がします。

あとがき(婚活女子・編集担当)

真面目な西村さんは、結婚が決まったわけでもないのに、育児について悩んでいます。経験が少ない分野ほど、人は行動する前に、一人であれこれ考えてしまいがち。その結果、ますます行動できずに経験が積めないのです。仮に行動したとしても、経験不足から失敗する確率も高くなります。
この負のループから抜け出すには、思考でなく「感情」に従ってみる、考えずにとにかく「場数を踏んでみる」ことでは? 出会わなければ、何も始められないのです。婚活女子にとっても、教訓になりそうです。

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大宮 冬洋(おおみや とうよう)フリーライター

1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
「お見合いおじさん」としての悪戦苦闘の日々は、ヤフーニュース個人の連載「中年の星屑たち」で公開中。
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