医師 桐谷さん(39)の場合

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<プロフィール>
●名前:桐谷敦さん(仮名)
●職業:勤務医
●年齢:39歳
●最終学歴:関東地方の国立大学
●推定年収:1,200万円
●生息域:勤務先の都市周辺、東京、品川
●行動特性:基本的に病院内にいるが、友だちから誘ってもらったら断らない
●好物:仕事、飲み会
●好異性:背が高く二重まぶたのしっかりとしたキャリア女性、冗談がわかる女性

年収1,000万を越すも、わびしい一人暮らし

「今度の土曜日に勉強会で上京するので、東京駅の周辺で1時間ほどなら時間をつくれます」

今回の取材先は、関東地方の某都市にある中核病院で医師として働く桐谷敦さん(仮名、39歳)です。筆者とは学生時代からの友人なので携帯の短文メールで取材をお願いすると即レスでOKしてくれました。

取材場所のカフェに現れた桐谷さんはバンドマンのような若々しい風貌です。学生時代の彼は人間関係には基本的に受け身で、時間などにはルーズでしたが、物腰はあくまで柔らかく誰からも嫌われない男性でした。医師として活躍している今でも性格は変わっていないようです。

桐谷さんは関東地方の某県にある国立大学の医学部を卒業し、そのまま勤務医となりました。どの病院で何年働くのかは基本的に「医局人事」に従わなければなりません。この春からは県内では規模の大きい病院に異動となり、やりがいはありつつも仕事一色の数か月を過ごしています。

「仕事は基本的に朝8時~夕方5時半までですが、定時で帰ることはまずありません。同僚と一緒に担当している患者さんの数は常に120人ほどで、1日に診察するのは10人程度。診察している時間よりもカルテや行政向けの書類をつくっている時間のほうが長いですよ。異動してしばらくは24時前に帰宅したことはありませんでした」

現在は少し落ち着いて22時頃には病院を出ているそうですが、それにしても長時間労働過ぎますよね。桐谷さんは「わびしい一人暮らしなので早く帰るモチベーションに欠ける。病院内でなら自分の存在意義を感じることができる」と自嘲気味に笑います。

「オンコールといって病院から呼ばれたらすぐに駆けつけなければならない担当のときもあります。自宅までは車で10分なので自宅待機でもいいのですが、なんとなく病院にいてしまいますね。すると、なぜかいろんな仕事が生じます。病院勤務の良くないところです」

患者の親から連絡先を渡されたことも

地方での医師不足が指摘されている昨今ですが、桐谷さんが勤務している地域は恵まれているほうとのこと。夏休みを1週間は取得できるし、週休2日も確保。土日のどちらかは休むことができています。

しかし、一人遊びがそれほど好きではない桐谷さんは休日も高給もまったく活用できていません。数年前に購入した高級車は自宅と病院との往復4キロだけに使っています。

「駅前にある1LDKのマンションに住んでいますが、ほとんど寝るだけの生活なので使っていない空間が多すぎますね。朝と昼は食事をしなかったりします。最近、あまりお腹が減らないんです。40歳を目前にして燃費が良くなったのでしょうか(笑)。洗濯は下着がなくなったらする程度で、掃除も週に1回だけ。家にいないのでほとんど汚れないんです」

爽やかな外見で仕事には熱心な桐谷さん。プライベートではちょっとだらしないところがあって「隙だらけ」です。不思議な愛嬌もあります。周囲の女性が放っておくはずはありませんよね。

以前に筆者が聞いたところによると、病院関係者での飲み会からの帰りに女性看護師が家までついて来て泊まって行ったり、子どもを診察したらその母親から個人連絡先を渡されたり。絵に描いたようなモテモテライフを送っていました。

「この年齢になると、そんなことで喜んでいる場合ではないとさすがに思いますね。不健康な生活を続けているので命の危険すら感じます(笑)。患者のためだけに仕事を頑張ることにも疲れてきました。生活に張り合いがほしいです。妻や子どものために頑張る生活をしてみたいと思うようになりました

桐谷さんの結婚願望が伝わったのか、父親の友人で「世話焼きおじさん」を自称している人がお見合いを組んでくれたそうです。候補は3人もいました。医師が2人と薬剤師が1人です。

しかし、ちょっとルーズな桐谷さんは返事が遅く、結局はどの女性とも会わずじまい。世話焼きおじさんを怒らせてしまったのです。中核病院に異動したばかりというタイミングの悪さに加え、「父親の友人」への甘えがあったのかもしれません。

筆者も細々と「お見合いおじさん」活動をしているので、桐谷さんへのアドバイスがあります。お見合いをするときの基本は、早めのレスポンスが重要です。相手や紹介者の時間を無駄にしてはいけません。

忙しくても月に何日かは休めるはずなので、「今月は仕事で予定が埋まってしまっていますが、来月ならばこの日とこの日はほぼ確実に休めます。よかったら東京でお会いできます。ただし、急患が多くて出勤になってしまった場合はご容赦ください」などと、明確かつ迅速に伝えましょう。

ニュースに疎い20代女子の言動にひく

桐谷さんは40歳の誕生日を迎えるまでに婚約するという希望を持っています。あと10か月もありません。どんな女性と結婚したいと思っているのでしょうか。

僕は子どもが好きなので、結婚したら子どもが欲しい。すると、30代半ばまでの女性が現実的ですね。でも、20代は若すぎる。先日の参院選で期日前投票をすると20代の看護師に話したら、『キャメロン首相は辞めるそうですね』と返されました。それはイギリスの国民投票だろう、と(笑)。さすがにもうちょっとしっかりしていてほしいです。僕はルーズで行き当たりばったりの生活をしているので、計画性のある女性だと助かります。自分自身の仕事についてちゃんと話せるような女性にも魅力を感じますね

どうやら桐谷さんは仕事も生活もきっちりできるキャリア女性を求めているようです。ただし、普段はずっと病院にいるので、病院関係者は避けたいとのこと。別の業界で働く女性と尊敬し合い、補い合いながら子育てをするのが理想なのですね。

東京の素敵な30代女性に出会うために上京

「東京には素敵な30代女性がたくさんいますよね。だから、最近は勉強会などにかこつけて上京し、学生時代の友だちに会って『婚活しているので紹介して』とお願いを始めています。僕が勤務している県内では、いい感じの30代女性はほとんどが既婚です」

 桐谷さんにはジレンマがあります。将来的には実家があって友だちも多い東京に戻ることを考えているけれど、最低でもあと4年間は現在の病院を辞めるわけにはいきません。東京で良き女性と出会ったとしても、付き合い始めた途端に遠距離恋愛になってしまいます。

「結婚して子どもを育てるならば、奥さんの実家が近いほうがいいと思っています。やっぱり県内の人と結婚したほうがいいのかな……」

桐谷さんと筆者は友人関係なので、この場を借りてもう一つだけアドバイスをさせてください。モテる桐谷さんの場合は、見た目や年齢、性格、価値観などで「妥協」をする必要はありません。ただし、住む場所までをあらかじめ条件に入れてしまうと相手探しが狭くなり過ぎます

ちゃんとした大人の女性と付き合うのであれば、どんな形の結婚生活を送るかは2人の知恵とお金を出し合えば解決できるのではないでしょうか。医局や病院への義理を大切にするのはいいことだと思いますが、それを絶対条件にしてしまうと話し合いになりません。

尊敬できて好きになった女性に対しては、「できるだけ自分が譲る」ことを念頭に置いて結婚生活を模索すること。結果的には、それが男性の幸せにつながると筆者は思います。

あとがき(婚活女子・編集担当)

取材を重ねるにつれ思うのは「いるところにはいるんだね。高倍率の独身男子」。しかも、婚活のために上京まで! なにげない暮らしの中で偶然出会うのが運命の相手、という概念はもはや捨て去った者勝ちかも。結婚相手に求める条件を絞り、その人が出没しそうなエリアに自ら出向く。一見ガツガツした行動が幸せを引き寄せるのかもしれませんね。

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大宮 冬洋(おおみや とうよう)フリーライター

1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
「お見合いおじさん」としての悪戦苦闘の日々は、ヤフーニュース個人の連載「中年の星屑たち」で公開中。
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