「この人なら大丈夫！」までの5回のデートとは

入会後、写真付きプロフィールを見て検索・お申し込みができる「写真検索」を中心にお相手探しを行っていた圭祐さん。お相手選びの基準にしていたのは、“趣味が合う”こと。スポーツや音楽が好きなので、スポーツ観戦や音楽、カラオケが好きな方と出会いたかったという。趣味・特技や自己PRを記載した“ちょっとひとこと”の中のキーワードで検索ができる写真検索が、圭祐さんの活動スタイルには合っていた。
入会後、自分から積極的にお申し込みを進め、お話し掲示板が開き、何名かと初顔合わせに進んだ。でも、その次に進めない……。圭祐さんの最初の壁は「2回目につながらない……」という悩みだった。何度か初顔合わせを繰り返し、うまくいかなかった時の「つい自分の話ばかりをしてしまっていた」という反省点を改善し、なんとか2回目にはつながるようになった。

しかし、続いてぶち当たった壁は「2回目にはつながるけど、なかなか3回目につなげられない……」という悩み。お断りされて「なんでダメだったんだろう……」ということが自分だけでは解決できず、アドバイザーに相談した。アドバイザーからは「相手との距離感の取り方」に関するアドバイスをもらった。「相手はタメ口で話してくれているのに、自分は敬語で話し、距離を感じさせてしまって……」と圭祐さんは振り返る。そんなアドバイスを元に改善を繰り返していった。落ち込んだ時にはアドバイザーに打ち明けて少し気持ちを前向きにしてもらい、なんとかまた走り出せる、そんな活動が2年ほど続いた。
入会から2年が経った2022年9月頃、やっとお付き合いにつながりそうなお相手が現れた。しかし、その出会いも初顔合わせから2カ月後、他の方と交際するという理由でフラれてしまった。圭祐さんとしては「やっと出会えた」と思ったお相手だっただけに、とてもショックを受けてしまったという。そんなショックを抱えながらも、圭祐さんは休まず活動を続けた。「つらいことも多々あったが、やめる勇気がなかったんです」と圭祐さんは振り返る。
その頃、写真検索経由で送った圭祐さんのメッセージがきっかけで、沙耶さんという運命のお相手との出会いを果たす。

2022年10月に入会した沙耶さん。当時は三重県に住んでいた。入会直後、たくさんもらったお申し込みの中の１人が圭祐さんだった。写真検索経由で圭祐さんから送られてきた最初のメッセージについて「文章が丁寧で真面目そうな人だな……と、とても好感を持ったんです」と沙耶さん。また、名古屋だったら会いやすい距離だと思ったこと、共通の趣味「旅行」について触れられた「お話しましょう」申し込みのメッセージが返信しやすい内容だったことから、沙耶さんがすぐにメッセージを返し、2022年11月お話し掲示板が開設された。その後、掲示板の中でふたりは共通の好きなアーティストの音楽の話などで盛り上がった。

2022年12月、お互いの家から車で1時間弱の中間地点で初顔合わせをした。その時の第一印象について圭祐さんは「話し方がとても優しく、強い口調や嫌味などが何ひとつない人だな」と思ったと振り返る。
沙耶さんも圭祐さんについて「とても真面目そうだな……」と掲示板での印象通りの人柄に好感をもった。はじめは、真面目でおとなしそうな印象の圭祐さんだったが、少し緊張がほぐれた後は音楽や応援している野球チームについてなど、たくさんの話をしてくれた。そんな圭祐さんのおかげで沙耶さんは初顔合わせをとても楽しく終えられたという。
自分の話を楽しそうに聞いてくれる沙耶さんに、圭祐さんも好印象を抱いた。初顔合わせは、8割が趣味の話で終了した。

初顔合わせ後の初めてのデートは、三重県にある沙耶さんの家の近くまで圭祐さんが車で出向き、夕食を共にした。この時の話題は、「寝る時は電気をつけるタイプ？」という小さな質問から「この先、子どもが欲しいか」という将来のライフスタイルに関わる質問まで、多岐にわたる“価値観”に踏み込む内容だった。

この時のことについて圭祐さんは「今までの婚活での経験を通し、自分ばかりが話し過ぎてしまいがちだったので、今度はしっかり“お相手のことをちゃんと知る”ということを心がけていました」と話す。共通する部分も多く、大きなズレを感じなかったふたりは、LINEの連絡先を交換した。

２回目のデートは、圭祐さんの地元で、圭祐さんの仕事終わりに焼肉デートをすることになった。この頃からふたりの心の距離は少しずつ近づき、自然に敬語が取れていったという。
食事の後、電車で帰ろうとした沙耶さんの携帯には、電車の遅延情報が。沙耶さんが帰れなかったら……ということを心配した圭祐さんは、ためらいなく車で送ることを提案した。そんな圭祐さんの瞬時に出たストレートな優しさに沙耶さんは「仕事終わりで疲れているのに、なんて優しい人なんだろう……」と感じたという。

３回目のデートは、沙耶さんがずっと見たかった映画を見に行った。漫画が原作の邦画でコメディー映画だった。最初、その映画に興味はなかったという圭祐さんだったが、沙耶さんの好きな事も知りたいと思い快諾した。結果、圭祐さんは沙耶さんと同じシーンで爆笑し、ふたりでその映画をとても楽しむことができた。笑いのツボも合うことを実感し、通じ合えたと感じられた瞬間だった。

また、映画の爆笑シーンで口を押さえながら大笑いを我慢する沙耶さんの姿に、圭祐さんは「かわいいな……」と感じ、沙耶さんの肩にポンと軽く触れたという。これまでのデートでは、近づいたり触れたりしてくることは一切なかった圭祐さんの急な行動に「それ以降、映画を見ていてもドキドキが止まらなくて、飲み物を飲んだりしてなんとか落ち着こうとしていました」と振り返る沙耶さん。

この日、さらに圭祐さんはお互いの距離をもっと近づけたいと思い「苗字ではなく、ニックネームで呼び合わない？」と提案した。心の距離も物理的な距離もグッと近づいた映画デートとなり、圭祐さんは次のデートでの告白を決意した。

2023年1月。4回目のデートはふたりの共通の趣味でもあるカラオケを楽しんだ。カラオケを終えて車に乗り込んだ後、意を決した圭祐さんが「僕と付き合ってみませんか？」と告白をした。その時、他にも同じくらいの回数会っていた人がいたという沙耶さん。ただ、圭祐さんからは熱意と真剣さがしっかり伝わってきたこと、圭祐さんといる時の自分が自然体でいられると感じていたことから、その場で「はい、お願いします」と迷わず即答した。

お付き合いが始まったふたりは、圭祐さんの地元の水族館に行く約束をした。圭祐さんは、地元では定番のデートスポットであるこの水族館に、沙耶さんを連れて行きたかったという。
この日は天気が悪く、途中から急に雨が降ってきた。圭祐さんは傘を持っていなかったため、沙耶さんの1本の傘をふたりで差した。この日のデートについて沙耶さんは「デートらしいデートも、電車で一緒に移動したのも、あいあい傘も初めて。そんな初めてがいっぱいだったので、あの日のデートはとても思い出に残っています」と振り返る。

常に穏やかな空気が流れ、けんかはしたことがないというふたり。ただ一度だけ、付き合い始めたこの頃、沙耶さんが圭祐さんに言われて嫌だったことを思い切って伝えたことがあった。勇気を出して伝えた言葉に対して、圭祐さんはしっかり受け止めて謝った上で「これからも、ちゃんと思ったことを言ってほしい」と言ってくれたという。自分の言葉に真剣に耳を傾けてくれる圭祐さんの言葉に、沙耶さんは「この人となら、これからも一緒にやっていけるかも」と感じ、ホッと安心した。

ふたりは順調にお付き合いを重ね、2023年7月にそろって成婚退会した。
常日頃から、沙耶さんの苦手な所をフォローしつつ、沙耶さんを気付かってくれるという圭祐さん。そんな圭祐さんの良いところをたくさん見つけ、それをしっかりと口に出して伝えることができる優しい沙耶さん。お互いをリスペクトしあい、苦手なところは補っていける関係だ。
圭祐さんの住む名古屋市内に引っ越してきた沙耶さん。取材の当日のお昼も一緒にカレーを作って食べた、と笑い合うふたり。そんな仲むつまじいふたりなら、今後もすてきな時間を紡いでいけるだろう。