2022年7月12日 15:16
「辛い大失恋で自分を磨こう」なんて綺麗事。忘れず、引きずらず、元カレとは「共存」するくらいがちょうどいい
文:奈月
「わたしを磨いた失恋」なんて綺麗事だと思うけど
申し訳ないけど、「わたしを磨いた失恋」なんて、しばらく時間が経ったから言えることであって、綺麗事でしかないと思う。
失恋直後は気持ちを言葉にしてしまったら、「ああ、自分は失恋してしまったんだな」と再確認しなくちゃいけないから、当時は誰にも詳しく打ち明けていないし、日記にすら書いてない。夢であってほしいと願いながら、現実から逃げまくっていました。
あのときもっと優しくできていれば、あんなひどいことを言わなければ、別れ際に引き止めていたら、彼はまだわたしの隣にいてくれたのかなぁ、と何度も過去を振り返っては自分を責めて、楽しかったころの写真や、愛に溢れた手紙を見返して、復縁をする夢を何度も見ては目覚めて、地獄のような日々を繰り返して。
そんな、思い出したくもないような失恋から、どうやってまた歩き出せるようになったのか。硬い記憶の蓋をこじ開けて書くので聞いてもらえたらうれしいです。
人生初の失恋。2年半付き合った彼に告げられた「別れ」
20歳のとき、大学で出会った彼は、ひかえめだけど人当たりが良くて、まわりからの愛を一身に受けて育ってきたからこそ、まわりの人に惜しみなく愛を降り注げる人で、私はすぐに恋に落ちました。
だから、晴れて付き合えるようになったときは本当に夢のようで、その日のことはほっとんど記憶にありません。彼の家で食べ物とお酒を買い込んで映画を観ながら、感極まって「好きです」と思いを伝えたら、やさしく笑って抱きしめてもらって無事に昇天したことだけは覚えています。
当時は大学2年生だったので、大学時代のモラトリアム期間はほとんど彼と過ごしました。
大学が終わったら、駅前のスーパーで食材を買い、一口コンロで料理をしながら彼の帰りを待つ。夜はレンタルショップで借りてきた洋画を観て、シングルベッドに身を寄せ合って眠りにつく。6畳ワンルームに洋服と化粧品を置いて、半同棲のような毎日。
お金はなかったけど、彼はいろいろなことをしてくれました。制服デートがしたいと言えば恥ずかしがりながら制服を着てくれたり、サプライズで夜中に呼び出されて、そのままUSJに連れていってくれたり。クリスマスにディナーを終えて家に帰ると飾りつけされた部屋とケーキで出迎えてくれたこともありました。
この人とだけは、ずっと一緒にいられる気がする。
そう思っていたのに、就活を迎えたころから少しずつズレてきました。人からジャッジをされるという経験は初めてで、人格を否定されるように感じたし、やりたいこともわからなくなって、私は次第に病んでいったけれど、ひとつ年下の彼は何もわかってはくれません。
そんな彼に対して、「もう少しわかろうとしてくれてもいいのに」と不満を募らせていきました。決定的だったのは、卒業間際に彼から「海外に留学したい」と打ち明けられ、さらに、2年間は帰らないと言ったこと。
この人の描く未来に、わたしはいないのかもしれない。そう思ったら悲しくなって、わたしは彼にそっけない態度を取るようになりました。
キレイに別れないと、失恋を引きずってしまう・・・と強がった結果は
その後、彼よりも1年先に就職して、仕事に取り組むうちに、彼との時間はおざなりになっていくばかり。
留学を控えた彼とわたしの間では、過ごす時間も金銭感覚も、あらゆることがどんどんズレていって、忘れもしない仕事終わりの水曜日、公園に呼び出されました。
「これは振られるんだろうな」と思っていたら、案の定言われました。「別れよう」と。
これが、人生初めての失恋でした。身構えていたはずなのに、頭が真っ白になって、自分が今どこに立っているのかよくわからなくなりました。でも、わたしはどこかで聞いたことがあったんです。「キレイに別れないと、引きずってしまう」と。
その謎の「定説」に則って、精一杯の笑顔で「2年半ありがとう」と言って公園を去りました。別れてからすぐは、全然実感が湧かなくて、何ならすぐに復縁ができるとすら思っていたと思います。
でも結局、「冷却期間」と呼ばれる3ヶ月が経ったころ、彼には新しい彼女ができて、私にとっては地獄のような日々が始まりました。
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失恋は辛い。でも行動したら、自分の好きな自分になれた
何度でも言うけど、正直これは結果論でしかないですが・・・。
毎日楽しかったころの写真を眺めたり、思い出を反芻したりしては苦しんで、復縁にまつわるサイトを読み漁って眠れない夜を過ごして、会社のトイレに籠って泣いて・・・。
そのなかで学んだのは、「復縁サイト」に書いてある大半のことは私には当てはまらなかったということ。
「冷却期間は3ヶ月」なんてルールは万人に当てはまらないし、のんびり待っていたらわたしの場合と同じく、別れた彼に新しい彼女ができて手遅れになることだってある。「告白はデート3回以内」と同じで、「ここだ」と思ったら自分の意思で動かなきゃダメ。
そうやって何かに従うんじゃなくて、自分の直感に従うことが何よりも大切なのだと学びました。
今だから言えるけど、この失恋をきっかけに、私は「こんな自分じゃダメだ」と転職を決意して大手企業に入ったし、次に会うときにちょっとでも素敵な自分になれるようにと、稼いだお金をすべてスキンケアやヘアケアに注ぎ込んで、美容SNSアカウントを作りました。
本当に苦しくて死にたくてどうしようもない日々だったけれど、この大失恋があったからこそ、自分の好きな自分になるためにエネルギーを注げたし、今自分が立っている場所は、振られたての社会人1年目の自分が立っていた場所とは全然違います。
自分の意思で動いてみたら、自分の好きな自分に近づけた、と今では感じます。
「失恋して良かった〜!」とは全然思わないけど、明らかにターニングポイントにはなったし、良い方向にエネルギーを持っていけたところは褒めてあげたいな、と思います。
失恋したら、泣きたい夜は泣く。心が喜ぶことをする。自分を甘やかそう
これはすごくすごーくむずかしいと思う。「新しい人にいこう!」とか「気持ちを切り替えよう!」とか思っても、口で言うのは簡単だけどそれどころじゃないし。
むしろ変に我慢しないほうがいいです。泣きたい夜は思いきり泣いて、友達に話したくなったらワーッと話を聞いてもらう。
「考えるな」って言われても考えちゃうのは仕方ないから。ただその代わり、できるだけひとりにならずに、何か行動したほうがいいです。友達の誘いにのるとか、新しく習い事を始めるとか、仕事に打ち込むとか。
あとは、とにかく心が喜ぶことをする。わたしは失恋系の音楽を聴いて悲しみに浸っていたらものすごく暗い気持ちになってしまいました。自分が聴いていて心地よい音楽を聴いたり、好きなものを食べたり、温泉に行ったり、うんと甘やかしてあげてください。
落ち込んでいても勝手に朝は来てしまうし、否応なく時間は過ぎていくから、考える前にとりあえず動く。動いていれば心がだんだん落ち着いてくると思います。
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お守りアイテムは「手帳」。書き出して客観視したら、気持ちも行動も前向きになってきた
もし、どう動いたら良いのかわからない場合は、「書き出してみる」と行動に移しやすくなります。
失恋したてのわたしのお守りは、手帳でした。
別れてからわたしが最初にやったことは、「自分自身」を見つめ直すことでした。具体的にどんな自分になりたいかを書き出して、現状と比べてみる。少しでもポジティブな思考になれるように、自分を鼓舞する言葉を集めて、毎日あった良いことを3つ書き出す「3 good things」を毎日やる。
そうやって可視化していくと、自分を客観視できるようになり、理想と現実のギャップをどのように埋めていくかを考えて動けるようになります。
頭の中であれこれ考えるだけでは限界があるので、紙の上に出してあげる。日々の歩みが感じられるバーチカルタイプの手帳は、書いていれば確実に前に進んでいるということが実感できるのでポジティブな気持ちになれました。
失恋中のひとへのメッセージ〜思い出と「共存」する〜
たぶん、私は立ち直るまでかなり時間がかかってしまったほうで、気づけば3年ぐらい引きずってしまいました。長く引きずった理由は、別れ際に言いたいことを言えないまま飲み込んでしまったからだろうなぁと思っています。
別れてから1年経ってもう一度告白をしたとき、言いたいことをぜんぶ言って、それで吹っ切れた感があるので・・・。
今も、元カレのことを完全に忘れたといえばそういうわけでもなく、相変わらず彼はわたしの心のなかに居座ってはいますが、忘れられなくても「共存」するぐらいの気持ちで過ごしてもいいんじゃないかと思います。
彼の存在があったからこそ楽しい時間を過ごせたことは事実だし、今の自分があるから、全否定する必要はない。それに、そんな彼の存在ありきの自分を受け止めてくれる人が現れるはずなので、どうか「彼しかいない」と思わないでほしい。
縁があればつながるし、縁がなければつながらない。これ、失恋直後に言われたとき、「だから、その縁を力技でつなぐ方法が知りたいんじゃ!」と思っていたけど(笑)、人の気持ちなんて操れるもんじゃないし、全部タイミングだよなぁと今では思えるようになりました。
今は本当に辛くて何も考えられないかもしれない。復縁する方法を検索する指が止まらないかもしれない。でも、どうか自分を卑下せずに、失恋の痛みを前に進む力に変えて。
以上、大好きな元カレを引きずりまくった私の話でした。
著者プロフィール
奈月(なづき)
美容好きのズボラな社畜ブロガー。時短美容からキャリアの築き方まで、人生をゆる~く賢く生きるためのコツを日々発信中。スパとサウナが大好き。