2022年9月16日 18:25
【恋愛相談】元彼を忘れられなくてつらい／「寂しい夜のお守り恋わずらい」漫画家による、失恋から立ち直るための考え方
文：黄身子
恋愛のストーリーを描いているけれど、私自身は恋愛がとても怖いし苦手です。
実は恋愛そのものというより、恋愛を通じて、わかりあえないことの切なさや寂しさなど、人間関係の難しさを考えていることが多いです。
だから、自分の経験をもとにアドバイスしたり、テクニックを教えたりするということはできません。
でも、自分自身の寂しい夜に向き合って、少しでも明るい気持ちで朝を迎えるためにどう考えたらいいか、ご相談をくださった方と一緒に考えられたらいいなと思っています。
【ご相談】前向きになりたいのに、元彼が忘れられない
2年半付き合った彼氏に「好きなのかどうか、わからなくなった」と言われ、振られてしまいました。
振られた直後は7キロも痩せて、家族や友達にもとても心配をかけてしまったと反省しました。
元彼と連絡もとらず、新しい生活に慣れていこうと思いましたが、元彼の夢を見たり、元彼を思い出したりして毎晩泣いてしまいます。
復縁できたとしても、また別れるときが来てしまって、いまと同じような苦しさを味わうのが怖いです。（マシュマロ宛に届いた匿名質問）
【回答】乗り越えるための努力なんて、しなくて大丈夫
心も体もそれほど傷ついて、それでも前向きになろうと努力したり、周りの方を思いやることができるあなたは、とても優しく魅力的です。
きっと振り返ってあのときこうしたらとか、あの日に戻れたらとか、いつまでも考えてしまうと思います。
でも、いま苦しいのは「自分自身が悪いから」とか「弱いから」ではないということを、何よりもまずお伝えしたいです。
失恋したとき、変えようのない事実だとわかっていても苦しくなってしまうのは、
・このつらさがいつまで続くのかわからずさまよっているようだから
・なかなか立ち直れないそんな自分を責めてしまうから
でもあると思います。
だけど、終わった恋に勝負を挑まないで。
いまのあなたは「乗り越えるための努力」をする必要なんてないし、できなくて大丈夫なんです。
なぜなら、化石になってしまったかつての輝く気持ちは、直接力を加えて壊すのではなく、時間が経って、砂のようにほどけていくのを待つべきものだから。
私たちにいまできるのは、気持ちを間接的に少しずつ少しずつ風化させてくれる、日差しや雨のような役割を果たすものを用意すること。そして、そのあいだ自分自身を大切に守ることだけです。
「幸せな未来がやってくる」と信じられる方法を探そう
最初は、つらくてたまらない夜や、涙が止まらないときのための対処療法を探すこと。
たとえば、好きな動画や物語を見て、気持ちだけ別の世界に行くのもいいです。
気持ちをコントロールできないときは、いい香りの入浴剤をいれて半身浴するとか、ホットミルクを飲むとか、身体的なアプローチで、自分をたくさんあまやかしてくださいね。
ほんの一時的にでもつらい気持ちから距離をとることができれば、根本的に変わっていないように思えたり、またつらさが訪れたりしても大丈夫。必ず前に進んでいます。
そして少し気持ちが変化してきたと思えるようになったら、次は幸せな未来があると信じられる方法を、できるだけたくさん探すことです。
同じ状況にある女の子たちの話を聞いたり、これまでの自分のことを日記に書いてみたり、最高の展開を妄想してみたり。
いつか買おうと思っていたものを注文したり、植物を育てたりして、時間の経過が楽しみになるような工夫をするのもいいかもしれません。
そうしているうちに、刺すほどの痛みが薄れ、つらさが自然と形を変える日は、確実に近づいています。
失恋から立ち直るのは、今の私が「次の私」になること
恋を知らず、憧れしかなかった幼い頃は、「将来きっとつらい失恋もするだろう」と思いながらも、愛する人と出会えることを夢みたりしたかもしれない。
そのいつかがいまだと思えば、過去や未来の自分のために、また前を向けるはずです。
おっしゃる通り、今後新しい幸せに出会っても、別れの苦しさはつきまといます。
けれど、つらい経験を経て臆病になることだって、傷つかないように恋愛することだって、悪いことじゃないんです。
お互いに思いやりを持つことが愛情なら、それはお互いに弱さを開示しあえることの先にあるはずだから、いまのあなたはこれまでよりきっと、優しい関係を築けるはず。
「いまつらくても乗り越えられる」。そんな言葉は聞き飽きているかもしれないけれど、そう心から思えたという人がたくさんいるのだから、あなたも例外じゃないはず。
失恋から立ち直るって、寂しい気持ちのほうを力ずくで変えることではなく、この私のまま自然に「次の私」になることだと思います。
「痛みを感じなくなっている」と気づくときの少し切なく不思議な感覚と、また新しく特別で幸せな日が、最高のタイミングであなたを必ず待っていると約束します。
著者プロフィール
黄身子
1992年札幌生まれ、東京在住。恋愛など他者とのわかりあえなさをテーマに漫画（4コマ、短編）やイラストを制作しています。2019年原宿ReSeeにて個展開催。現在「現代ビジネス」で「トライアングルとうさぎ」、「AM」で「エンジェルOLちゃん」、「メトロポリターナ」で「今日も恋するアートガイド」を連載中。
※2021年10月12日おうね。にて公開
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